
私たちが快適に過ごせる空間を創るために欠かせない分野である「空間デザイン」。
しかし、実際に空間デザインがどのようなものなのかを知っている方は少ないと思います。
この記事では、空間デザインとは何かというところから、独学でもそのスキルが身に付くのかなど空間デザインの基本的な知識をまるっと解説します。
空間デザインとは?
空間デザインとは、人々が生活する空間内に存在するインテリアや家具、ランドスケープデザイン、建築や商業施設の配置計画などをトータルで創り出すデザインを指します。
スペースデザインと呼ばれることもあります。
空間デザインの種類
空間デザインはその担当分野ごとに分類することができます。
以下では空間デザインの代表的な種類を紹介します。
【住宅インテリアデザイン】
戸建て住宅やマンションの内部空間におけるインテリアの配置や配色、収納スペースなどのデザインを指します。
【商業インテリアデザイン】
商業施設やオフィスの内部空間におけるオブジェクトの配置や動線などのデザインを指します。
【展示スペースデザイン】
展示会場や美術館、ギャラリーなどの展示空間のデザインを指します。こちらでは、展示物の配置や人々の動線、照明設計などが重要です。
【ランドスケープデザイン】
広場や庭園などの屋外空間のデザインを指します。
ここでは、周囲の風景との調和や季節や時間帯による変化を意識したうえでデザインすることが重要です。
空間デザインの効果
その場を利用する方の目的に合わせて空間デザインを行うことで、人々がより快適にその空間で過ごせるようになります。
例えば、開放感があるオフィスにしたい場合には全面ガラス張りにしたり仕切りをなくすことで、広々と感じられてリラックスできる空間にすることができるでしょう。
空間デザインと他デザインとの違いとは?
空間デザインはよく建築デザインなど他デザインと混同されることがあります。
ここでは、他デザインの紹介と空間デザインとの違いを紹介します。
建築デザインとの違い
建築デザインとは、建物の構造や形状など建物自体に特化したデザインを指します。
それに対して、空間デザインはその内観や周囲の環境など、建物も含めた空間そのものをデザインします。
建物が出来上がる流れとしては、建築デザイナーが考案した建物が完成した後、インテリアデザイナーが内装をデザインします。その後、そのほかの空間を空間デザイナーがデザインして完成です。
環境デザインとの違い
環境デザインとは、公園や街並みなどの人々の生活を取り囲む環境をデザインすることを指します。
空間デザインは特定の場所や建物内部のデザインに焦点を当てているデザインですが、環境デザインはその場所も含めた街並みなどより広い空間、環境そのものをデザインします。
そのため、空間デザインは環境デザインの一部とも言えるでしょう。
空間デザインの仕事の流れは?
次に、空間デザインをするデザイナーはどのような流れで仕事を行うのかについて解説します。
仕事の流れ①打ち合わせ
空間デザインをする際には、まずはクライアントとどのような空間デザインにするのかの打ち合わせを行います。
この際にクライアントのニーズやイメージを汲み取り、空間の使用目的や予算、スケジュールなどを明確にします。
また、実際に現地を訪れ、空間の大きさや窓の位置などの現状を細部まで確認します。
クライアントと話すうえではコミュニケーション力や説明されなかった内容をも汲み取る力も必要となってきます。
仕事の流れ②デザイン案の作成・提案
次に、クライアントとのヒアリングや空間の特徴をもとにデザイン案を作成します。
デザインの方向性を定めた後に、CGや設計図、模型などを使いイメージを実際に形へと落とし込んでいきます。
この際には家具の配置は勿論、照明の位置や動線なども詳細に設計します。
デザイン案が完成したら、クライアントに提案を行います。
クライアントが提案されたデザイン案に対して修正を依頼してきた場合にはその要望に沿ってクライアントの納得がいくまで修正・提案を行います。
仕事の流れ③施工業者に依頼
デザインが決定したら、続いて施工業者を決めます。
この際、複数の業者から見積もりを取り、予算やスケジュール、品質に沿う業者を比較検討したうえで決定します。
また、デザインと施工を一気通貫で行う業者を選ぶと時間やコストの削減にもつながります。
仕事の流れ④施工現場の訪問
施工が開始された後も、現場を定期的に訪問し、進捗状況を確認することが重要です。
デザイン意図に沿っていない施工が為されている場合もあるので、細かく調整を行ったり、指示を出す必要があります。
仕事の流れ⑤クライアントへ引き渡し
施工が完了した後はその空間をクライアントへと引き渡します。
デザインと施工の両方がクライアントの要望に即しているのかを確認し、問題が無ければ以上でプロジェクトが完了します。
空間デザインに必要な知識は?
空間デザインの仕事をするうえではどのような知識や資格が必要となるのでしょうか。
下記にて紹介していきます。
建築知識
空間デザインの仕事をするうえでは、建物の内部空間と外部空間をデザインするため、建築の基本的な知識が必要となってきます。
建築デザイナーとまではいきませんが、建築の歴史から建築設計までを総合的に理解しておくことで、より良いデザインをすることができます。
インテリア
空間デザインをするうえでは、空間内の調和を生み出すためにインテリアの知識も重要です。
インテリアに関する知識や技術が必要となる「インテリアプランナー」の資格があれば仕事でも有利に働くでしょう。
デザイン
デザインの仕事となるので当然ではありますが、デザインの知識も身に付けておくことが重要です。
デザインの資格としては、日本デザインプランナー協会が実施している「実践空間ディスプレイデザイン認定試験」などを受けておくと良いでしょう。
製図・模型製作
空間のイメージをわかりやすく伝えるためには、平面や立体で空間を表現するスキルが必要となります。
手書きによる図面やCGによる図面、もしくは立体模型などを用いてクライアントや施工業者に伝わりやすい形でイメージを具体的に作れるようにしなくてはいけません。
プレゼンテーション
空間デザインのクライアントとの打ち合わせやコンペにおいては、デザインの内容やコンセプト、表現意図を相手にわかりやすく説得力をもって伝えるプレゼンテーションスキルも重要です。
空間デザインは独学でもできるもの?
空間デザインに必要なスキルは多岐に渡るため、独学で行うのは非常に難しいと言えます。
しかし、決して不可能というわけではありません。
一つ一つのスキルを会得するには膨大な時間がかかりますが、根気強く学べば空間デザイナーになることも可能です。
独学で学ぶ際には、基礎的な知識は本と通信講座を両方使って学ぶとインプットとアウトプットを効率よく行えるためおすすめです。
また、空間デザインを行ううえで必須となるillustratorやPhotoshopなどのツールに関しても使い方を勉強しましょう。
一通りの知識が身に付いたら、実在する空間を分析してより実践的な考え方を身に付けましょう。
【まとめ】空間デザインを学ぼう
この記事では、空間デザインの基礎知識について解説しました。
空間デザインは人が快適に生活をするうえで必要不可欠となる要素です。
ぜひ身の回りの建造物や空間に目を向けて、空間デザインがどのように活かされているのか確認してみてはいかがでしょうか。