建築物のプロジェクトにおいては、広告や商業施設の発表などをするうえでどのような建物が出来上がるのかを一目で伝えるために完成予想図が重要となります。

この際、完成した建物の外観・内観をわかりやすく立体的に表現した図のことを「建築パース」と呼びます。

近年はCGで描く「CGパース」が主流となっているのですが、このCGパースの制作にはいくらかかるのでしょうか。

この記事では、建築物の種類ごとに料金相場をわかりやすく解説します。

ぜひ参考にしてみてください。

建築CGパースが外注した方が料金は安くなる?

建築CGパースを作る際、外注か内製か迷う方もいるでしょう。

結論から申し上げますと、外注をおすすめします。

建築CGパースを作る人材を育成するには、ツールの導入など決して安くはない初期費用がかかるうえに、デザインやツール運用などの膨大な知識を勉強する必要があるため育成時間も長期にわたります。

また、即戦力となる専用のスタッフを雇った場合もその分の人件費が発生します。

一方、外注先には建築CGパース制作のスキルと経験を持ち合わせたプロフェッショナルが揃っているため、納期に遅れることなく効率的に高品質な建築パースを取得することができます。

そのため、建築CGパースはプロへの外注がコスパの良い方法と言えるでしょう。

【建造物種別】建築CGパース制作の料金相場 

建築CGパースの外注料金相場は、対象となる建築物の複雑さや特性、規模や利用素材の種類、仕上がりの品質など様々な要素で変動します。

そのため、一般的な住宅なのか商業施設なのかなど建築物の種類が変われば料金相場や製作時間も変わります。

また、プレゼンや提案に使用する場合には高品質な画像は必要ありませんが、広告やコンペなどで使用する場合には高解像度が要求されるため、料金も高くなります。

さらに、必要な図面をCADデータで提出する場合には最も安価になりますが、図面を印刷する場合にはデータを入力したり作成するなどの工数もかかるため、より高価になり、納期も延びます。

以下にCADデータで提出する場合の料金相場を建築物の種類別にまとめました。

住宅の料金相場

一般的な小規模建築物である住宅の建築CGパースは、プレゼンや提案に使用する場合には4万円以上の提案となることが多いです。

広告用途の高品質なCGパースを依頼する場合には、8万円以上となります。

オフィスの料金相場

オフィスの建築パースは人々の動線の確保や照明器具などの素材が増えるため、住宅の建築CGパースよりも費用が高くなります。

具体的には、プレゼンや提案に使用する場合には5万円以上となるでしょう。

また、広告用途の高品質なCGパースを依頼する場合には10万円以上となります。

ビルの料金相場

高層ビルは大規模建築物であるため、費用も高価となりやすいです。

具体的には、プレゼンや提案に使用する場合には10万円以上となるでしょう。

また、広告用途の高品質なCGパースを依頼する場合には、20万円以上となります。

さらに、総階数が高くなるごとに料金も上昇する傾向にあるため注意が必要です。

ホテルの料金相場

ホテルは大規模建築物であるため、建築CGパース作成には一般的な住宅以上に費用がかかります。

プレゼンや提案に使用する場合には1点あたり10万円以上の料金が発生し、広告用途の高品質なCGパースを依頼する場合には20万円以上となります。

また、ビルと同様にホテルの総階数が高くなるごとに料金も上昇する傾向にあります。

さらに、大規模建築においては外観パースよりも内観パースの方がより安価になります。

商業施設の料金相場

商業施設においては、家具や照明器具などの素材が多く要求されるため、料金も高価になります。

プレゼンや提案に使用する場合には10万円以上の料金が発生し、広告用途の高品質なCGパースを依頼する場合には20万円以上が料金相場となるでしょう。

また、どの建築CGパースにも共通することとして、視点や光源設定を変えるパースを追加注文する場合には、1点あたりの追加費用はもとの費用の80%程となるでしょう。

建築CGパースの制作手順 

建築パースをパース制作企業に外注する場合には、建築パースの制作フローを理解したうえで適切に依頼内容や修正内容を伝えることで、より効率的に外注を行うことができます。

下記にて建築CGパースの制作手順について解説します。

①建築パースの依頼受け付け

まずはクライアントから建築パースについての資料と依頼内容が提出されます。

この際、提出資料としては平面図や立面図についての簡単な図面や仕様書、スケッチ、現場写真などが該当します。

特に新築建築においては依頼時には現場写真などの必要な図面が揃わない場合も多いですが、必要な図面の提供時期は打ち合わせの中で決めていきます。

また、建築パースの内容や使用目的の情報を詳細に得ることで仕上げの品質向上や使用素材の最適化につながるため、クライアントはできる限り詳細な情報を示した仕様書やスケッチを用意すると良いでしょう。

②見積もりとスケジュールの提出

提供された資料に基づき、見積と今後のスケジュールを提出します。

クライアントの希望に合わない場合には、仕様や提出資料の見直しを行うことで調整していきます。

具体的には作成する建築パースの数や種類、パース画像に追加する家具や人などの要素を見直すことで納期や価格が変わります。

③受注

見積やスケジュールが確定後、契約締結していよいよ建築パース作りにとりかかります。

また、契約時には場合によっては著作権や肖像権の規定の他、完成した建築パースの使用期限や用途を制限することもあります。

④3Dモデリング

まずは建物の3Dモデリングを作成します。

この際、建物の形状や構造、素材などを細かくツールを用いて再現します。

提出されている図面やデータが不足している場合には、データ保管やクライアントへの確認を行いながら進めます。

また、3Dモデリングが完成したらクライアントへ確認を行います。

⑤テクスチャリング

次にテクスチャリングを行い、建物の外観や内観の素材に合わせた質感を付与することで、より図面のリアリティを向上させます。

この際には提供された素材やツールに含まれている素材を使って人物や家具などの要素も追加していきます。

⑥視点と照明設定

視点や光源は建築パースの印象を左右する重要な要素です。

パースを何点か作成して比較した後に、視点と光源の設定を決定して正式に建築CGパースを出力します。

⑦調整

建築パースをクライアントへと提出します。

その後クライアントのフィードバックに合わせて修正や調整を行います。

このような流れを経て、最終的に双方の納得のいく建築CGパースが出来上がります。

【まとめ】建築CGパースの料金相場を理解したうえで外注を依頼しましょう

いかがだったでしょうか。

この記事では、建築CGパースの料金事情について解説しました。

建築CGパースの料金は建造物の種類やパースの使用用途、データの出力法によって価格が大きく変動します。

依頼前に予め建築CGパースの依頼内容に沿う料金相場を確認したうえで、外注会社を選びましょう。